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寝覚月 2020 https://collaj.jp/
時空を超える美意識
W・A・S・U・R・E・N・A・I
コロナ禍の 6カ月
地震や台風の被害に比べ、感染症は目に見える被害が少ないた
W・A・S・U・R・E・N・A・Iめ、人々の記憶に残りにくいといわれます。一方でペスト、インフルエンザといった感染症は、戦争や地震よりも多くの人命を短期間で奪ってきました。
コロナ禍の 6カ月全国的な自粛ムードが緩んだ今、新型コロナウィルスを記憶をとどめるため、コロナ禍の 6カ月を 5人の方にかたって頂きました。
W・A・S・U・R・E・N・A・I
世界へ影響を与えるブランドへコロナ禍の 6カ月野田豪 AREA(インテリアショップ、オーダー家具、空間デザイン)
在宅勤務などをきっかけに自宅のインテリアが見直され、インテリアショップや家具業界は、コロナ禍のなかで比較的順調な業界といわれます。しかし一時は、来店者の減少という厳しい状況もありました。そうした危機を乗り越え、新たな時代を模索するインテリアショップオーナーAREA代表野田豪さんにインタビューしました。
Q コロナ禍のなか、インテリアショップのオーナーとして、最も大切にしたことは何ですか?
野田 まず第一に考えたのは、スタッフやお客様の命をどうやって守るかです。AREAは昨年11月にパリ店をオープンし、日本人スタッフもパリにいますから、ヨーロッパで始まったパンデミックのきざしをいち早く感じていました。パリでは東洋人系の店に「出ていけ」と落書きされたりと異常なことが起こり、とにかくフランス政府の指針に従おうと、早々に決めた記憶があります。
Q パリはまだ開店 3カ月目で大変でしたね。
野田 ヨーロッパに進出して最初の1、2年は準備期間、軌道に乗るまで 10年はかかると思っていましたから、店の運営的には深刻ではなかったです。しかしパリの日本人スタッフの精神的な不安はものすごかったと思います。状
Q ホームページ上の「チャット」はどんな仕組みでしょう。
来店者は急減しました。来店者対策としては、AREAのホームページに「チャットルーム」を設けました。それがいい効果をもたらして、お客様と細かな所までチャットで打ち合わせして、外出自粛があけた時点で来店し、実物を確認して頂けました。コロナ禍をきっかけに、ホームページ上で接客できるシステムを開発できたのです。
野田 チャットに書き込みがあった瞬間に担当の携帯が
2019年11月にオープンした「AREA Tokyo Paris」。ルーヴル美術館にも近く、アートギャラリーの多い、鳴り、すぐにテキストでやりとりを始めます。ラインと同じ感覚ですね。初めは、そんなに来ないと思っていましたが、
サン=ジェルマン=デ=プレ地区にあります。況次第で帰国も考えましたが、帰れる状況ではなかったのも事実で、ショップを閉め、アパートから一歩も出るなと指示しました。命が最優先です。スタッフから弱音は聞かなかったので、本当にタフだと思いました。日本のインテリア業界でヨーロッパに店を持つ会社はあまりなく、簡単に諦めてはいけないという自負もあったと感じます。日本のショップもパリと一緒で、政府や都の決めたことを遵守し、営業時間の短縮やコロナ対策を徹底しました。電車で通勤するスタッフなどはテレワークを進め、出社は半分か、それ以下でした。外出が自粛された 3、4月の
AREA Tokyoの店頭で活躍するスペシャリストが、お客様の質問や要望にこたえるQ&Aチャットaskus(アスクアス)。ホームページから気軽に質問でき、担当スタッフのプロフィールも掲載して安心感を高めています。結構来ました。外出自粛期間中もチャットは盛り上がり、自粛が解けてから沢山の来店がありました。お客様とつながり続けることを模索した結果、販売の機会損失は最小限に抑えられたと思います。そもそも東京・青山の AREAが世界に広がるためには、リモートによる販売を模索する必要がありました。コロナ禍はそのきっかけになりました。ファッションなどネットで成功した通販サイトはありますが、家具のような高額な製品を販売するためには、文章量や瞬発性、双方向性が足りません。チャットはそういった課題を解決してくれそうです。
Q 大企業が新規採用を見送るなか、新人を5名もとりましたね。
野田 全く新しいビジネスの展開を考えています。その時に、既存のスタッフを掛け持ちで担当させても上手く行かない。社内ベンチャーをすすめる人材として採用しました。今後の事業承継に関しては、次のリーダーや交代時期も決めています、問題は 3代目で、これは新しい部門から出てくると思います。
Q AREAの製品をつくる家具工場はいかがでしたか。製造に遅れなど出ませんでしたか?
2017年 4月にオープンした「ロッシュ ボボア トーキョー」(神宮前)。ミッソーニのファブリックをまとったハンス・ホファーデザインの人気作「MAHJONG」(上)をはじめ、マルセル・ワンダースなど著名なデザイナー、建築家と協働し、世界約 60カ国に 260店舗以上を展開。学生デザインコンペを主催するなど、新しい才能の発掘にも熱心です。野田 日本での製造に支障はありませんでした。ただしロッシュボボア(フランス)の輸入がストップし、それは辛かったです。ヨーロッパは工場が止まってしまい、注文した品も物流が止まり入りませんでした。ロッシュボボアはもともと、工場をもたないファブレスのブランドとして成功したので、自分たちと同じファブレスとして、どのようにデザインを生み出すのか、協力メーカーとの関係など学ぶべき点が沢山あります。
Q ソーシャルディスタンスが求められるなか、ショップのコミュニケーションのあり方は変わるでしょうか。
野田 今は良い製品が溢れすぎているので、その中で認められるのはコミュニケーション次第です。それが直接的な対話かネットを介したものかはあまり違わないと思います。本棚のサイズを建物に合わせるのは、人と建物のコミュニケーションだと思いますし、そうした相対を大事にするのがAREAの特徴で、それには言葉が大切です。そのコミュニケーションをとれる人材を育てるのが目標です。
Q 今後の展望についてお聞かせください。
野田 小さな母体で最大の影響力をもつ組織を目指したいと改めて思いました。ジブリなど100人に満たない組織
が世界中を席巻する。これからはショップを沢山つくる時代ではなく、東京、パリ、アメリカ、アジアに1店舗づつあれば、それを駆使して世界中に影響力を及ぼすブランドになれる。そうした構想の背中をおされた気がします。テレワークなど、社会とのコミュニケーションが自宅でも出来るということは、車よりもソファが売れる時代になったということです。イタリアのように日本でも、家具は基幹産業になりうると考えています。ソファセットの価格は 200万円以上になるし、体積もあまり変わらない。50、100年先を考えれば、インテリアは日本の花形になるので、若い方も勇気をもってがんばって欲しい。日本はメーカーをしっかり育んで、世界に冠たるブランドを排出していく。インテリアはその筆頭になりうるものと思います。
Q 家具が花形になるために、何が必要でしょう。
野田 日本人のものづくりのスゴイところは、限度を知らないことでしょう。その良さをしっかりだせるメーカーに成長して欲しいと思います。そのためには、生活者により近い人がメーカーをやるべきです。一番近くにいて欲しいものが分かる人が、飽くなき追求をする。AREAもそういう存在になり、何百年つづくブランドにしたいです。
※以下、詳細は左下リンクから動画をごらんください。
chair A-10 chair A-4 chair A-6“SIN” chair A-13 “COWHORN”
赤い実 青い実 すっぱい実 王林 紅玉 ジョナゴールド 初恋の味どんな味?
冬恋恋空アルプス乙女
みんなぜんぶリンゴの実
Vol.15
原作: タカハシヨウイチ 寧江絵 : タカハシヨウイチ
小林清泰さんは、スーパーマーケットの店舗デザインや「流通小売業のチェーンイメージの基本づくり」を手掛けながら、自然エネルギーを利用したエコストアや水素エネルギーステーションの提案も行ってきました。
コロナ禍のなか、在宅時間の増加とともに、売上を伸ばしたといわれるのが、スーパーマーケット業界です。長年スーパーマーケットを中心とした商業施設のデザインを手掛けてきた小林清泰さん(KENOS)に、コロナ禍によるデザイン事務所の仕事の変化や流通業界の展望をうかがいました。
Q 新型コロナウイルスの影響で、事務所の仕事にも変化はありましたか?
小林 スタッフの安全を考え、4月から在宅のテレワークに踏み切りました。スタッフに在宅用の MacBookとモニターを支給しましたが、いち早く切り替えたため公的な補助金は使えませんでした。私たちの手掛けるスーパーマーケットチェーンは、伸び盛りの会社や老舗の会社なので、コロナ禍でも出店意欲は旺盛で、昨年立てた予定通りにプロジェクトを進行しました。実際には仕事量はかなり増えています。
Q 飲食店が困難な状況にある一方、同じ食品を扱うスーパーマーケットは影響がないのですね。
小林 我々が手掛けるスーパーマーケットは、特別なことはしていないと感じます。普段からお客様のために尽力さ▲ 「コリドールのある家」(モデルハウス)▲TSURUYA 佐久中央店
ダイヤモンド・チェーンストア誌主催
「STORE OF THE YEAR 2015」店舗部門第一位を受賞した「鮮 DO!エブリイ海田店」(広島市)。店舗デザイン、ネーム開発、サイン計画等をKENOSが手掛けました。
れているので、コロナ禍だから特別に何かをすることはありませんし、我々も特別な対応はしていません。来店者は1〜2割増えています。外食しなくなり、在宅時間が増えた分、家で調理したり、惣菜を食べる回数が増えました。
Q 店舗の感染症予防対策についてお聞かせください。
小林 レジ前の透明シートなど、準備をいち早く的確に行っていると思います。惣菜をトングで取るタイプの売り場は減りました。店舗の消毒は徹底していて、アルコールでカゴを使うたびに消毒しています。入口の消毒液スタンドは、足踏み式が普及すると思います。消毒には 70%前後のアルコールが効果的といわれるので、各店ともいち早く確保していました。店員と来店者のコミュニケーションのあり方は変わっていくでしょう。リアルな店舗にはオンラインショップと違う良さがあり、実物の製品をショーケースで一覧でき、発見や探検の楽しみがあります。人間のつきない興味や楽しみを深めるような店作りを、我々がしなければならないと思います。技術としては非接触化が進み、現金の直接的なやり取りは無くなると思います。アメリカでは「カーブサイドピックアップ」が増えています。お客様は車に乗ったまま、店の駐車場まで店員が商品を
▲ ベイシアゲート本庄早稲田
▲ ロピア港北東急 SC(食生活♥♥ロピア)
▼カインズモール彦根(景観に呼応するデザイン)▼ ローソン(内外装デザインデザインシステム構築など)
運びトランクに積んでくれます。注文や支払いはオンラインで事前に済ませておく仕組みで、数年後にはそういう非接触なスーパーマーケットが日本でも増えると思います。また「インスタカート」という企業は、注文した商品を小売店でピックアップしてくれる買い物代行サービスを提供しています。アプリで様々な小売店の食料品を選び、個人契約のショッパーと呼ばれる人たちが商品を買って配達します。注文履歴がアプリに残るので、同じものをワンクリックで再注文でき、忙しい主婦に喜ばれています。こうしたサービスによって店舗デザインも変化し、実店舗のもつ「発見する喜び」をより良く表現することが求められるでしょう。
Q これからのデザイン事務所のあり方について
小林 コロナ禍は、事務所の再スタートを図るきっかけになったと思います。デザイン事務所はわたくし個人に仕事を依頼されるケースが多く、培ってきたノウハウやクライアントとの信頼関係をどのように承継するかが長年の課題でした。数十万人規模の人々が日々利用するスーパーマーケットのデザインは、社会的な影響の大きい仕事です。それを継承する人材を育てる時間が欲しいです。
※以下、詳細は左下リンクから動画をごらんください。
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オーダー家具を低価格で
コロナ禍の 6カ月二宮健一ドゥーマンズ(家具製造・ソフトウェア開発)
昨年 10月、名古屋で開催された「日本木工機械展」にて、ドゥーマンズの
を発表。統合型の自動設計製造システムのクラウドサービスによって、低コストで圧倒的な業務改善と直接販売のプラットフォームを実現します。
コロナ禍でテレワーク(在宅勤務)が増えるなか、自分なりのインテリアを作り上げたいという生活者が増えています。そうした希望に応えるべく、20年越しにオーダー家具の低価格化を進めてきた、ドゥーマンズ二宮健一さんにお話を伺いました。
Q まずドゥーマンズの仕事内容をお聞かせください。
二宮 オーダー家具を、既製品と同じ価格で提供するため、必要なことを全てやってきました。自分なりの空間づくりをするためには、既製品の家具だけでは限界があります。しかしオーダー家具はどうしても高くなってしまう。それには理由があって、図面やスケッチを描いたり、工場で見積りや製造データを書いたり、ひとつの家具のために膨大な手間がかかるからです。しかしコンピューターで自動的に設計、見積もり、製造データを生成できれば、既製品と変わらない価格でオーダー家具を作れるようになる。その技術の研究から20年ほど前にスタートした会社です。
Q コロナ禍の影響を感じ始めたのはいつ頃からですか。
二宮 影響が出始めたのは3月前半くらいからでした。仕事柄、地方や海外の工場に行くことが多かったのですが、どちらも行けない状態が今も続いています。ZOOM会議の段取りをして、最初は不慣れでしたが手探りで慣れていきました。今はシステムを解説するセミナーも ZOOMで行っています。
Q スタッフの勤務形態にも変化はありましたか?
二宮 当社はソフトウェア開発がメインなので、エンジニアの9割を在宅に変えました。その他も在宅と出社で分け、出社率は1割位になっています。従来はオフィスに通えることが採用の条件にありましたが、今後は遠方や海外でも、優秀なエンジニアを採用できようになります。一方、見積りなど日常業務の承認は、オンラインだと難しい。それをオンライン化できるシステムのテスト運用をしていて、実現すれば今まで以上に業務の進捗を把握しやすくなります。もし僕がアメリカにいても業務の把握が出来るし、時間と空間の壁がなくなっていく。コロナ禍は通常なら 30年かかる変化を前倒しにしたと感じます。従来と異なるプラスがあると考えると、全てをコロナ以前に戻せばいいということではないとも思います。
Q コロナ禍は住宅・インテリア業界にどのような影響をもたらしたと思いますか?住宅産業でいえば、工事件数が減っています。コロナの
影響で職人が現場に入れないとか、お客様が予定を先送りしたり、ショールームが閉まっていたり、後ろにずれただけでなく、計画が消えた可能性もあります。その影響は木工場にも出ていると思います。一方家具小売店は、在宅の普及によってはニーズがあがりました。業種、業態によって細かく異なるのが、コロナ禍の特徴かもしれません。
Q アメリカで暮らしている、ご家族とのコミュニケーションはいかがですか?
二宮 今は妻と長男がアメリカの実家にいて、長男が高校2年生になるけれど、アメリカは学校によってカリキュラムが全く異ります。全員が ipadを持っていて、クラウドからipadに宿題が配信され、テストの成績がリアルタイムに親に送られてくる。コロナ禍で高校に行けなくなっても、授業はすぐにオンラインに切り替わり、ライブで先生が授業をして、生徒を当てて答えさせている。そういった文明の導入が自由にできるのが、アメリカの特徴と思います。家族とは ZOOMで頻繁に話していて、家で夕飯をつくりながら ZOOMでつながっていたり、一緒にいるときよりも、コミュニケーションは深くなったかもしれません。
※以下、詳細は左下リンクから動画をごらんください。
古代ギリシアの酒宴シンポシオンは、その冒頭、水で薄めていない生(き)のワインを全員が僅かに口にするという「儀式」から始まる。神に捧げたお神酒を参会者が共に分かち合うという古いしきたりの名残りだ。この儀式での「神」とは、ギリシア神話の最高神ゼウス、英雄神、そして神霊(精霊)という3つの神々を意味していた。実際、シンポシオンの様子を描いた酒壺には、神棚が描かれているものが残っていて、この酒宴が「神々と共にする酒宴」という色彩が濃いものであったことがわかる。だからこそ、その開始前に参会者は身を清め、香油を塗り、花冠を直し、身なりをただして、気持も新たに酒宴に臨むしきたりだったのだ。
一方、シンポシオンで使われる酒器には、この3神とは別に、酒神ディオニュソス(バッカス)の姿も登場する。酒の魅力と魔力。陶酔の中で次々と詩が詠まれ歌が合唱され、いつしか性的な交わりへと誘う力を秘める酒の魅力。その一方で、飲む者の正気を失わせ、泥酔の果てのご乱業へと引きずり込む酒の魔力。その両面が、
特に、サテュロス(ディオニュ
ソスに付き従う、酒と女に目が
ない半人半獣の怪物)の姿を通
して多種多様に描かれていて、
その面白さは尽きることがない。
では、この開会の儀式のあと
は、皆で自由気ままにワインと
会話を楽しんだのかというと、
そうではない。様々なゲームを
参加者全員で行った。中でも注
目は、詩の詠唱・合唱と言葉遊
びだ。近年の研究の積み重ねの結果、「古代ギリシア時代の詩として伝わるものの大半は、酒宴シンポシオンで詠唱されることで誕生した」というのが通説になりつつある。詩作に秀でた男が自作を詠唱し、これに対して、別の参会者が、感興に任せて自身の詩で応える。それらの詩を耳にした参会者たちがその感想を歌うように口にする。背後で女達がかなでる竪琴と笛の音。詩が長大であれば、この座で交わされる詩と感想(コーラス)のやりとりは、あたかも舞台で交わされるセリフのごときものとなっていく。
現代にまで重要な影響を及ぼし続けているギリシア演劇と源で通底する要素が、この酒席にはあったのだ。これに関連して、シンポシオンよりも時代は遡るが、ホメロスの長大な叙事詩イリアッドとオデュッセイア両作品についても、酒宴で詠唱される中で誕生したものではないか、という説が力を得つつある。さらに、これまで発見された中で最古のギリシア文字の一例とされるのが、酒盃(紀元前7百年頃)に刻まれたものであることも見逃せない。古代ギリシアにおける酒宴の重要性は計り知れない。
では、プラトンの『饗宴』に代表される「哲学的対話」を生み出すような要素があったのだろうかというと、当然あった。それが何かというと、言葉遊びのゲームだ。詩の詠唱をめぐるやり取り同様、参会者全員で、「何々と掛けて、何々と解く」という感じの、寄席の大喜利で競われる言葉遊びに似たゲームが行われていた。ワインの力を借りて、謎掛けゲームで忌憚のない言葉のやり取りを続けていく中で、物事の本質的な理解に近づく。これを一定の抑制(ルール)の中で楽しむ知的なゲームがシンポシオンでは行われていたのだ。こうした土壌から自然に「哲学的対話」が誕生することになる。
このような「知的なゲーム」の一方で、「運動神経を競うゲーム」も盛んに行わ
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れていた。その代表がコッタボス。これは、酒盃の底に残った少量のワインを、数メートル離れた的に向けて投げ飛ばして当てることを競い合うもので、勝者には「景品」として様々なものが用意された。また、ヤギ一頭の革をまるごと使って作られた大きな酒用革袋、これを満たして表面に油を塗り、その上にまたがってバランス良く落下しないことを競うという面白い競技も行われた。いずれも運動神経の良さ、肉体のバランス感覚の良さを競うものであって、これが上手にできる限りは、酔いも許容限度内と考えられた。たとえ遊びであってもゲームには「競い合い」という要素がある。これは「詩の優劣を競う」という知的な遊びでも、「運動神経を競うゲーム」でも変わりはない。様々なゲームで遊んだシンポシオンには、「ゲームを通した男たちの競い合い」という要素が秘められていたといっていい。
こうして宴が進み、ワインも飲み過ぎとなる頃には、酒席も乱れてくる。なるべくそうならないように、クラテール=混酒器から供されるワインの分量を調整し、座の進行をスムースに流れるように心配りをするのがシンポシオンにおける宴席ディレクターの大切な役割だった。酒神ディオニュソスがワインを通じてもたらす酒の魅力と魔力。酔わねば感興を欠くが、過ぎればご乱行から時に暴力的争いに至る。その両者の間の絶妙なバランス感覚と調和。こうした古代ギリシアの彫刻や建築にも通底する要素が酒席での振る舞いにも求められていた。
とは言うものの、酒器の絵を見れば、決して穏やかな酒宴だけではなかったことがわかる。そこに描かれる男たちの大半は戦士のごとき見事な体格の持ち主であり、男のシンボルを大きく屹立させた姿、ズバリ性的な交わりの場面、さらには酔った挙げ句の喧嘩取っ組み合いの場面などもあれこれ描かれている。その多くはサテュロス(半人半獣)の狂態ご乱行として描かれていて、「酒席でこうした行為に至る者は人にあらず。半ば動物として軽蔑すべき対象だ」ということを意味した。だが、我々の目には、むしろユーモラスと映るものが大半だ。酒宴は、こうした狂態を含めて、男たちの力強さ・荒々しさ・暴力的な要素などが表に現れる場でもあったのだ。
いずれにしてもシンポシオンは、詩(文芸)・哲学・音楽・演劇・舞踊等々さまざまな文化を生み出す原点となった酒宴であり、その源である熱きマグマが湧き立ち渦巻く世界だった。なぜこれが、世紀に入って、西欧食文化史の最前線でホットなテーマの一つとなっているのか。ここはぜひ皆様にも考えをめぐらせて頂きたいところです、という言葉をもって、回に渡った本テーマの締めくくりとしたい。
メッセフランクフルトジャパンは、春の「インテリアライフスタイル」、秋の「IFFT/インテリアライフスタイルリビング」という2つのインテリア見本市を東京ビッグサイトで開催してきました。2020年は6月のインテリアライフスタイル、10月のIFFT/インテリア ライフスタイル リビングともに中止されました。
コロナ禍により、もっとも大きな影響を受けているのが、見本市関連業界です。2020年 2月以降、多くの見本市が中止されましたが、9月からは再開が目立つようになりました。そんななか、10月 28日〜 30日開催の「IFFT/ インテリア ライフスタイル リビング(以下 IFFT)」(小誌 7 月発行号で開催告 知)の中止が8 月末にリリースされました。同見本市を主催・運営するメッセフランクフルト ジャパン インテリア関連見本市の統括マネージャー小泉恵子さんに、見本市の現状や感染症予防対策などを伺いました。
※インタビューは ZOOM で行いました。
Q メッセフランクフルトジャパンに関係する国内外の見本市がコロナ禍の影響を受けたのはいつごろからですか。
小泉 ドイツ・フランクフルトで開催され、日本からも多くの来場者・出展者に参加いただくアンビエンテ(2020年 2月 7日〜11日)は予定通り開催されました。新型コロナウィルスや暴風雨の影響を受けながらも、日本をふくめ160カ国・地域から約 10万 8,000名に来場いただき盛況でした。その後は世界中で中止が相次ぎましたが、中国では徐々に再開されています。国内で最初に影響を受けたのは、3月に東京で開催を予定していた「インターペット」、「ビューティーワールドジャパン」、「インテリア ライフスタイル」などが中止になりま2019年「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」会場より TIME & STYLE した。 3〜 4月は感染者数が増えるなか、見本市の開催可否は主催者に委ねられている状況で、開催か中止か判断の難しい状況でした。しかし大規模なコンサートやイベントが相次いで中止されたこともあり、ご参加いただく皆様の安全を第一に、見本市開催の1カ月から1カ月半前までに中止を決定していきました。出展者の反応は様々で、時期によっても異なります。6月開催の「インテリアライフスタイル」については、感染者数が拡大している渦中だったこともあり、多数のご出展者にご理解いただけたように思います。一方、見本市によって多くの売上を期待される出展者もいらっしゃるので、残念がるお声もいただいております。
Q 出展者だけでなく、イベント関連業者(会場設営、運営スタッフなど)にも大きな影響があると聞きます。
小泉 たしかに大変な状況にありますが、こういう事態だからこそ、新ビジネスに取り組む機会になった、新しいビジネスを模索しているという方々が多く熱意を感じます。
Q 10月開催の IFFT はなぜ中止されたのでしょうか。小泉 7月から新型コロナウイルス感染の第 2 波がはじまり、日本政府による大規模イベント開催制限の緩和が延期されたことなどから、数万人が集まる見本市という特性上、安全を重視2019 年「IFFT /インテリア ライフスタイルリビング」会場よりエストニアのパビリオン出展。国際見本市にとって海外からの出展は大きな要素。して早いタイミングで IFFTは中止を決定しました。ただし、当社主催の全ての見本市を中止するわけではなく、公的な指針や日本展示会協会の「展示会業界における COVID -19感染拡大予防ガイドライン」、開催都市、会場のガイドラインに従った対策を行うことで、9 月の「フォームネクストフォーラム 東京 2020」(東京都立産業貿易センター浜松町館)を皮切りに再開する見本市もあります。IFFTの場合、東京の感染者数が増加するなか、家具産業という特性上、地方都市から多くの方がいらっしゃり、また戻られることが中止の要因になったと思います。また海外からの渡航制限がかかる中、国際的な見本市にとっては大きく影響しました。
Q 見本市の感染症予防対策として、具体的にどのようなことを行いますか。
小泉 ひとつは受付の非接触化の推進です。今までは見本市の入り口受付で係員がバッジを手渡ししていましたが、できる限り人との接触を避ける仕組みを取り入れる予定です。ソーシャルディスタンスや入り口でのアルコール消毒、マスクの徹底、手すりなど接触部のこまめな清掃、会場の換気といった基本的な対策が一番大切だと思います。また、IFFTでは来場者の事前登録をより一層浸透させるとともに、会場内の規定収容人数を厳
沢山の来場者が集まるセミナー「ライフスタイル サロン」(2019年インテリア ライフスタイル、谷尻誠さん、吉田愛さん)。ウェビナー「Interior Lifestyle Webinar」アンビエンテ&ハイムテキスタイル2020報告〜今知りたい“サスティナブルとエシカル”」講演者:本間美紀さん(ライフスタイルジャーナリスト)のアーカイブが、左下リンクからご覧いただけます。
守する予定でした。出展者に対しては、会場設営時からのマスクの着用、商談コーナーに透明アクリルパネルを立てる、来場者名簿を作り、万一のときはご連絡ができるようにするといった協力をお願いする予定でした。また今後は、出展者にも事前に商談予約を取っていただくことで、ブース内の訪問者数を管理いただくなどの工夫も必要になってくると思います。いずれにしろ出展者、来場者にもご協力いただくかたちになります。
Q 開催前にウェビナー「Interior Lifestyle Webinar」を開く
など、オンラインの試みを積極的に行っていますね。(ウェビナー:オンラインの対話型ライブセミナー)。
小泉 インテリア ライフスタイルや IFFT では、各界の専門家にお話を伺う「ライフスタイル サロン」が好評でした。6月のインテリアライフスタイルが中止されたことをきっかけに企画しましたが、参加者も多く大変好評です。これからも1年を通してウェビナーや SNSを利用した情報発信を続けていきたいと思います。一方で見本市の強みは実際に顔を合わせての商談だったり、商品を手に取って五感で感じることだったり、予期せぬ交流が生まれることだと思います。オンライン見本市などデジタル化は進んでいくと思いますが、これからもリアルな見本市の場を提供し、ビジネスを広げたい方の役に立つことが、私たちの役割と感じます。
ョン住民は、この2件をあわせた 6年近くにわたり、解体工事や建設工事にまつわる騒音問題と向き合ってまいりました。
向かいの百軒も入居すると聞かされたマンションには、いまだ夜になってもポツポツと点在するだけの明かりしか灯っていないし、どうしたものか、活気が感じられませんねえ。
数えてみると、年末で丸 4年になるから、私どもの日常に、静けさが戻ったのは、 3年強という勘定になるわけです。やっと以前のような心の平安と落ち着きを得られたところへ、今度は頭上からの低空飛行で悩まされる日々がやってこようなんて、ヒドすぎやしませんか。どうして国民を、いえ狭いながらも懸命に都心に生きる人達に対し、心や健康を奪う行為ができるんでしょう。人の命と引き換えに、何を手に入れたいというのか私には全く理解できません。かつての戦争体験で命の重みを知らされたはずじゃなかったかしら。こんな空襲まがいのい
やがらせ行為を許していいはずない
。直上を飛ぶ低空飛行の
行為は、ますますエスカレートしていくばかりだ。
そんな現実に私は呆れ果てています。ゼロ戦で飛んでいかざろう得なかった若者たちと、低空飛行で操縦させられているパイロットの姿が重なってみえるのは、私だけではないはずだ。
!!!
その 6
青山かすみ
本日、南風なれども
本日、南風なれども
W・A・S・U・R・E・N・A・I
コロナで変わったこと、変わらないことコロナ禍の 6カ月吉田龍太郎 TIME & STYLE(インテリアショップ、家具製作)
北海道東川町の TIME & STYLEFACTORY。北海道産の原木を自社で製材・乾燥し、家具に利用する取り組みが進んでいます。毎年、東京のスタッフの研修が行われてきましたが、今年はリモートによる講習会がひらかれました。コロナ禍により様々なものが失われた一方、新しい生活習慣やコミュニケーション技術、新常識など、多様なものが短期間で生まれたと言われます。コロナ禍によって変わったこと、そしてこらからも変わらないこと、TIME & STYLEの吉田龍太郎さんに伺いました。
Q 3月からの 6カ月を、どのように感じましたか?
吉田 生活自体はなれましたが、これは現実なのか、夢なのか、実感のない日々が続きました。僕らが在宅勤務に移行したのは3月のはじめから、以来月ごとに、生活や働き方が変わっていきました。3月はじめの在宅勤務への移行は、経営者として時期尚早と考えることもありましたが、早めに様子をみたいと思いました。ZOOMなどを利用したテレワークは初めてだったので、個人的には抵抗がありました。
Q TIME& STYLEのショップは、東京ミッドタウン、玉川高島屋 S・C、伊勢丹新宿などの商業施設内にありますが、施設の動向はどうでしたか。
吉田 施設の動きは遅く、できるだけ営業を継続して、他社がはじめたら休業しようとしていました。施設に問い合わせても「様子を見ています」という回答で足並みを揃TIME &STYLEのショップは、東京ミッドタウン、玉川高島屋、伊勢丹新宿、南青山、大阪 confort Q、オランダ・アムステルダムにあります。えるのは難しく、店頭スタッフの在宅への移行がなかなか出来ませんでした。3月、4月は感染に対する不安に加え、人件費やテナント料をどうするか、会社の先行きも見えず大きな不安を抱えていました。
Q 感染に対する怖れは、スタッフの方にもありましたか?
吉田 全てのスタッフが恐怖心を持っていたと思います。毎日 ZOOMでミーティングをして業務を滞りなく進めるよう動いていたのですが、在宅でも普通に仕事ができる雰囲気になってきました。直接話さないと出来ないことも沢山ありますが、コロナ禍の影響だけでなく、在宅勤務の方が楽という印象をうけました。今は育児中のスタッフなどには在宅を続けてもらい、他はオフィスに戻っています。ZOOMは皆の顔が見えて、リアルな会議だとあまり発言しない人の意見も聞けました。北海道の工場、スタッフの自宅、青山のオフィス、アムステルダム等をつなぎミーティングできるようになったのは、リモートワークを通じて進化した部分だと思います。
Q ショップの休業中、スタッフはどうすごしたのでしょう。
吉田 店舗スタッフに対して研修を行いました。北海道の自社工場とオンラインでつないで、家具製作の流れを、木
今年発表された「TIME & STYLE .dition」は、イタリア Boffi(ボッフィ)| DePadova(デパドヴァ)とTIME& STYLEがコラボレーションした新プロジェクトです。Boffi | DePadovaが世界 50カ国に展開するモノブランドショップで「TIME & STYLE .dition」が展示・販売されるという、日本の家具メーカーとして画期的な出来事となりました。どりから乾燥、製造、塗装まで、各部門長が講習会を企画して解説しました。休店中の 2カ月間行いました。
Q 店舗を再開してからの動きはいかがでしたか?
吉田 在宅期間中に多くの方が自宅で過ごし、生活空間に対する意識を高めたと思います。そういったことで 6月に外出自粛が解除されると、お客様の戻りは思ったより早かったです。来店数が去年より増えているショップもありますし、食器や雑貨類の購入頻度が増えました。自宅で食事やお酒を飲む機会が多くなり、日々使うものの大切さを感じるようになったのかもしれません。7月、8月には家具の販売も増え、20〜30歳代の方がダイニングセットを購入されたり、以前より若い方々が多くなりました。また15〜20年前のソファの張り替えが驚くほど増えました。住環境に対しての意識は確実に高くなったと思います。
Q インテリア業界にとっては追い風ともいえますね。
吉田 家具関連の需要は150%くらい増えたといわれますが、それが日本人全般の意識を変えたか分かりません。自然素材の手触り、愛着を持てるものを思考する気配は出てきたと感じますし、在宅期間の長い時期だからこそ開発でTIME& STYLEの生活器、家具には、日本の陶磁器、漆器、皮革、鋳物、ガラスなどの技術力が集約されています。きる家具もあるでしょう。生活全般に対する意識が上がってきたと考えると、内装材も人工のものではなく、自然な材料の中で生活したいという欲求が生まれたらいいと思います。
Q 日本のコロナ対策についてどう思いますか?
吉田 企業に対する補助金の状況をみると、それが正しい処置であるのか、本質を見えにくくするものなのか分かりません。我々家具業界もコロナ特需のような状況にあると思いますが、それが本当に継続する需要なのか、日本のものづくりを良い方向に導くのか、こうした本質的な問題を変えるチャンスなのに、補助金によって飼いならされていると感じます。コロナ禍の特別融資があるからといって必要以上の資金を借りれば、健全でない部分のツケは必ずまわってくる。一方、大変な苦境にある飲食店の方が、本質的な強さを持ってきていると思います。
Q オランダ・アムステルダム店の状況はいかがですか?
吉田 アムステルダム店は、一日も休業しませんでした。オランダ政府からの要請も、アポイント制をとるなど安全を確保しながらの営業は許可されました。飲食店も屋外での飲食やテイクアウトは継続できたので、多くの店は休業
Maison(パリ レストラン) 設計:田根剛
星野リゾート 界アンジン 設計: スーパーポテト
関西国際空港 KIXノースラウンジ 設計:丹青社
Karen 京都東山 インテリアデザイン:TIME & STYLE
せずに続けていました。ショップには一日何組か予約のお客様が来店したので、スタッフも営業を継続しました。オランダの感染者数は日本に比べ多く、不安はあったと思います。来店者数は、さすがに3月、4月は落ちましたが、6、7、8月は前年より売上が伸びています。開店当初は、店のなかを見て帰る感じだったのですが、最近は実際に購入してくれるお客様が増えました。
Q ホテルなどコントラクトの方はいかがでしょう?
吉田 当社のクライアントは、自社でホテルを運営している所が多いので、計画の中止や延期はほとんどありませんでした。ただし長期的なプロジェクトには、見直しもありました。一方、マンションや建売住宅、オフィスの需要は減少していて、その影響は業界全体にあると思います。ホテルの運営会社は柔軟に状況を判断して、集客の動きが早く強いなと思いました。コロナ禍でも稼働率が下がらない所もあり、その差がはっきりしてきています。海外に行けなくなった日本のお客様を取り込んだり、東京から近郊のホテルにショートトリップを提案したりとか、ブランドバリューを落とさない機敏な対応にスピードを感じました。
※以下、詳細は左下リンクから動画をごらんください。
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